山中湖の写真

ドーム船が人気!ワカサギの聖地「山中湖」って、どんな場所?

FISHING JAPAN 編集部

釣れる!うまい!おもしろい!の3拍子がそろった超人気のターゲットといえば、ワカサギ。

特に富士五湖をはじめとした関東では、週末となると予約を取れないほどの賑わいを見せている。

そんなワカサギの2大聖地といえば、山梨県山中湖と福島県檜原湖。

ここでは山中湖の釣りスタイル、ドーム船の攻略について解説しよう。

【プロフィール】尾崎渚

山中湖のワカサギレコードである1日2511尾の釣果を達成した人物。

また、メーカー主催のワカサギトーナメントで2連勝の実績もあり。

以前はバスプロだったこともあるが、今はルアー釣りから遠のいていて、ワカサギの他、アユ釣りや渓流のヤマメ釣りなど長い竿を使う伝統的な日本の釣りにはまっている。

ワカサギ2大聖地のひとつ、山中湖のなぎさボートにてドーム船に乗り、釣り客の相手をしつつ、ワカサギの釣技を磨く日々。

がまかつ・マルキュー・シマノフィールドテスター。

ワカサギ釣りで大人気のドーム船スタイル

空前のワカサギブームといわれる昨今。

その2大聖地といえば、山梨県山中湖と福島県檜原湖。

この2つの湖は形状もスタイルもワカサギの行動や性格も違う。

そもそもワカサギといえば、氷上の穴釣りをイメージする冬の釣りと思われがちだが、実際には秋冬春とシーズンは長い。

当然、湖に氷が張っていないシーズンのほうが長い。

そして、山梨の富士五湖は冬でも人が乗れるほど分厚く凍結することはない。

山中湖のスタイルはドーム船。

大きな屋形船の室内に釣り座が設けてあり、溝状にくり抜かれた場所で竿を出す。

1船20人程度が標準的な船の大きさだが、中には80人、100人も乗れるような大きなドーム船もある。

落水の心配もほぼなく、安全で冬でも暖房が効いていて暖かく、釣りに集中できるとあって初心者や家族連れはもちろん、ベテランまで幅広いファンを獲得している。

ほかの湖にもドーム船はあるが、山中湖が船数は最も多い。

また、山中湖は他の富士五湖に比べバスが少なく、釣れたワカサギに食いつくケースがほとんどない。

その影響もあってワカサギドーム船の営業しているシーズンが長いことも、聖地として認知される理由に違いない。

ドーム船の座る場所に関しての有利不利はあるのだろうか?

「まばらに人が座っているようなら、どこでも大差はないです。

ただ、全席が埋まっているくらい人が多いなら、強いていえば四隅は有利といえば有利ですね」

釣り座は2列あり、左右で2mほどしか離れていないのだが、右の席の魚探にはワカサギが映って、左の席ではほとんど映らない。

あるいは、その逆ということが1日のうちで何度も起きていたので、席順に関してはあまりナーバスにならないほうがいいのかもしれない。

尾崎は毎日釣り客が各々の座席についた後に空いている席に座るが、それでもかなりの確率で竿頭となっている。

湖の位置する標高や水温の兼ね合いと思われるが、シーズンは湖によって異なる。

例えばバスの多い河口湖は1~2月がピーク。

4月には閉める業者もある。

同様に津久井湖、相模湖も春にはバスが元気になる。

ベテランのワカサギ師になると、釣行のタイミングでよく釣れている湖を選んで釣り場を決定することも1つの戦略として根づいている。

ドーム船以外にボートの釣りが芦ノ湖や西湖で行われていて、アンカーで止めたりブイにつけたりする。

ボートの場合、小回りが利き、魚の動きに合わせて動き回れるメリットがある。

その場合、朝イチは3mや5mのシャローで竿を出し、陽が高くなったら10mくらいのディープに移動するといった戦略を取ることが可能になる。

富士五湖や芦ノ湖、相模湖など多くのワカサギフィールドが関東にはあるが、基本、東北や群馬の魚に比べると活性が高い。

落とせば釣れるし、魚の数もめちゃくちゃ多い。

ただ、そんな中にあって山中湖は簡単ではない。

ドーム船が多いためか、山中湖のワカサギは口を使わせるのが難しい。

もう1つの聖地である檜原湖も難しい。

まさにワカサギ釣りで連想される氷上釣りが檜原湖をはじめとした東北の釣り場で展開されるが、1000尾も釣れるような釣りにはほど遠いという。

「穴の位置が固定されているからですかね。仕掛けを入れても全然食わないんですよ。関東のワカサギとは全然違う」

水温が低いのは当たり前だが、それにしても食い気がない。

「東北に行くと極端な細仕掛けが流行っていたり、関東とは仕掛けも魚の反応も違いますね。このように地域差を楽しめるのもワカサギ釣りの魅力です」

ドーム船で釣っている場所はどんなところか

山中湖の最大水深はせいぜい13m。

湖の大きさから想像するともっと深そうに見えるが、実際にはかなり浅い。

「だいたい水深9~13m程度の平べったい地形が続く皿池です。凹凸もほとんどない」

魚探を見ながら船長が群れを探して船を止めるのだが、ドーム船は一度場所を決めて船を固定したら、何度も動かすようなことはない。

「秋は9mの浅場、冬は11mの深場、春はちょっと浅めで10mとか、魚の動きに合わせて季節で船を止める水深が変わります」

真っ平らでめぼしい障害物や岩もない中で、どういった場所に船を止めているのだろう。

魚探で群れを探しますが、実はドーム船はイカリで固定するんですが、泥底じゃないとイカリが固定できないんです。

船が大きくて、風が吹きやすい山中湖ではイカリがしっかり利かないと、船が流されてしまいます」

北岸は急なかけ上がりになっていて、流れが強い。

ポイントとしては有望だが、泥が溜まることのない砂底となっている。

そういった砂底にはイカリが利かないため、船を固定することはできない。

また、ワカサギは朝まずめ、それこそ岸際の波打ち際まで移動し、エサを探ることさえあるが、ドーム船は1日中、船を動かさないという性質から、朝は水深5mの浅場を探り、移動して水深12mの場所に移るとか、そういうことはできない。

「こまめな場所移動ができない理由のひとつとして、イカリという巨大な物体がドボンと沈むことをワカサギは嫌がります。

特に産卵期のナーバスなワカサギは、イカリを嫌がって、イカリを落としたが最後、その日全く船に近づかなくなるということさえあります。

とはいえ、普通は朝イチはまずめで活性が高くチャンスなので、イカリを下して間もなく船には寄ってきますけどね」

山中湖のエサは紅サシがオススメ

使うエサは紅サシのみ。

といっても関東で釣る際の話で、最も手に入りやすいのが白サシと紅サシという面もある。

「普通はハリに紅サシを刺して半分に切ります。

ただ、今期の山中湖はサイズがなぜか小さくて5㎝しかない。

2020年の6月が妙に寒かったのでエサがなくて成長できなかったのが原因と考えています。

魚のサイズが小さいときは、紅サシも小さく切ります。

3分の1くらいですかね」

ハリにちょこんと小さく残る程度に切る。

「ポイントの水深が深いときにも大きくハリに残します。

これは水圧で紅サシの中身が抜けないようにするためです。

もっとも、魚の活性やサイズ次第で、小さく付けて交換の頻度を上げることもあります」

紅サシのほかに白サシもあるが、尾崎が使うのは紅サシ。

「紅サシは白サシを赤く染めたもので、染めたせいで少し硬くなっています。

この硬さを嫌うときもあるので、白サシと使い分けるという人もいますが、僕は原則、紅サシを使います。

皮が赤くて中身が白いでしょう。

そうすると中身の抜け具合が確認しやすいんですよ。交換するタイミングが目視でわかりやすい」

山中湖は濁っているので白サシよりも赤い紅サシが強い傾向がある。

「水深3~4mまで目視できるようなクリアレイクでは白サシがいい。

これは、ワカサギが目で見て食いつくから。氷上釣りも白がいい。こちらは真っ暗だからでしょうか?

山中湖の場合は目で見るというよりは、味と臭いでエサを探して捕食している。

ワカサギのいるボトムは濁っていて暗いんですよ」

東北や群馬ではエサの種類も多い。

本ラビット、ミニラビット、ラビットウォームがあり、もちろん、紅サシ以上に釣れることが多々ある。

「僕の住む山梨エリアでは目にすることはありませんが、販売しているエリアに遠征したときは使いますね。

関東は自分の好きな釣りを展開できるんですが、東北では魚の好みに合わせてやる必要があります」

また、アカムシもワカサギ釣りには使われるエサである。

「アカムシは山中湖ではそれほど実績はありませんが、湖によっては11月のターンオーバーでアカムシが舞い上がり、アカムシに食いが集中するような時には効果があります。

檜原湖はその典型です」

ただ、紅サシに比べハリ持ちが悪く、意図していないときにハリ外れが多いため、尾崎はあまり使わない。

1000尾オーバーを目指すなら春と秋

ハイシーズンはいつなのだろう。

ワカサギといえば真冬の氷上釣りのイメージがある。

「1000尾釣れるときは、ワカサギの活性が高いときです。

活性が高いときは、群れが中層に浮いているので仕掛けの上げ下ろしも早いんですよ。

山中湖で1000尾釣れるのは4月と9月ですね。

ただし、2021年は魚が例年より小さいせいなのか4月の爆釣がないです」

山中湖では7、8月が禁漁期で、9月に解禁を迎える。

解禁直後は釣れやすい。

水深10mのポイントでもワカサギは水深5mに浮き、仕掛けが入ればすぐに食いつく元気がある。

「標高1000mにある湖とはいえ、9月はまだまだ暑くて水温10度を超えています。

しっかり夏ですよね。

その時が一番、活性が高いです」

10度という水温はワカサギ釣りをするときの活性のカギになっていて、10度を下回るとワカサギは中層には浮かず、底にたまりやすくなる。

「だいたい12月中旬に10度を下回るわけですが、ワカサギが底に集まれば魚探が要らなくなるので、そういう意味では冬は誰でも釣りやすい季節です」

産卵は2、3月。

通常、産卵期になると川を遡上して、河川で産卵するが、山中湖は川がないため砂利浜で産卵する。

「1年で死ぬような話もありましたが、2~3年生きるという研究結果が出ていたと思います。

なので、産卵が終わった後にもまた食い始めますね」

どれくらいが1000尾を達成できるペースなのか。

山中湖にあるフィッシングハウスなぎさではコロナのため時短営業をしていて、通常7時出船で15時あがりなのだが、今は13時あがりとなっている。

2時間の早上がりなので1000尾釣るとなると、かなりハイペースに釣らなければならない。

9時半で300尾、12時で600尾。

これくらいのペースなら15時までなら1000尾に到達する可能性がある。

13時上がりで1000尾超えを狙うなら、これよりも早いペースが求められる。

尾崎の場合、だいたい年間10回ほど1000尾釣りを達成する。

天候によってもワカサギの食いは変わる。

晴天、ベタ凪の日は絶好の釣り日和だが釣れない。

どちらかといえば、朝からどんよりしていて、風が吹いていて、波がザブザブしていて早上がりしなければならないような荒れている日のほうがよく釣れる。

また、雪の日の後の晴天などは極端に食い渋る。

とはいえ、生き物だけにイレギュラーも発生する。

2021年の1月と4月がまさにその状況で、通常1月は抑え気味で4月は入れ食いになる山中湖だが、1月に妙に食いがよく1700尾を超える釣果が記録されている。

「1月に爆ったのも初めてですし、4月に食いが悪いのも、魚のサイズが小さいのも初めてですね、過去10年で。

4月は本来、落とせばガツガツ食うハイシーズンで、7㎝がアベレージなんですが」

ハリは狐型、号数は1.5号、ハリ数6本と7本を使い分け

「朝、セットした仕掛けを1日中使うことがほとんどなので、ハリはいいものを使ったほうがいいですね。

がまかつのハリは鋭くて掛かりがいいです。

あと、長持ちしますね。

500尾、1000尾を狙おうと思ったら、仕掛けが果たす役割が大きいです。

尾崎が主に使う仕掛けは、「ワカサギ王スタンダード狐タイプ」「ワカサギ王喰い渋り狐タイプ」「ワカサギ連鎖ベーシック6本仕掛け(狐タイプ)」。

ハリ形状は狐型と袖型があるが、ほとんどの場合は狐型を使う。

狐型の特徴は吸い込みやすく掛かりが早いこと。

また、口先周辺に掛かりやすく外しやすい。

高活性のワカサギを数釣りする山中湖および関東の湖では狐型の出番が多くなる。

「手返しのスピードがすべてなので、エサ替えの時に手に持ちやすいことも狐型が優れているメリットです」

標準的な7㎝のワカサギにはハリサイズ1.5号。

5㎝クラスの小型がメインの場合には1号。

逆に10㎝クラスの大型が主体のときには2号のハリにする。

袖型は深くしっかり刺さりバレにくい。

1尾1尾を大事に取り込む必要がある場合に向いている。

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竿の長さは27㎝前後で魚のサイズで強さを選択

竿は20~40㎝まで市場では見かけるが、ドーム船ということを考えると27㎝が基本。

長くても35㎝程度。

あまり長いものは天井に当たり、仕掛けの回収に手間取ることになる。

尾崎はトーナメンターらしく先調子のものを好む。

その上で使用するオモリやワカサギのサイズに合わせて竿のパワーを選ぶ。

「竿先の動きではなく魚の重みを手で感じてアワせるスタイルなので、多少竿が長いほうが、テコの原理で魚の重みを感じやすいですね。

感覚や好みの部分になりますが、20cmくらいのショートな竿は今のシリーズではしっくりこなかったです。

以前は愛用していたモデルもあるんですが」

シマノのM02E、M03Kがメインだが、ワカサギのサイズが特別小さいときや氷上釣りなど、繊細な釣りを要求される場合にはM01EやM00Eなど、01番以下の穂先を使う。

道糸はPE0.3号。

山中湖編は次回も続く!

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